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【第十一話】淡島ってどういう島?

 松濤館からの風景が絶景と言われる理由は、ただ単に富士山が拝めるということだけではありません。穏やかな駿河湾にぽっこりとした淡島(あわしま)が浮かび、陸地と淡島の間に聳える霊峰富士を望む景色は梅原龍三郎画伯を始めとした多くの画家や文豪にも絶景と愛されてきました。
 淡島は海底火山の地下にあった火道が隆起し侵食されて現れた火山岩頸といわれるもので、『ぬまづの宝100選』の一つにも選ばれています。面積は0.165k㎡、周囲の長さ2.2km、最頂部の高さは137mです。
 無人島ですが、弥生時代には人が暮らしていたらしく、遺跡が発見されて土器が出土しています。江戸時代は江戸城の築城などのために石材を切り出したり、戦時中は海軍の施設が設置されていました。現在はリゾート地として開発され、水族館やホテルがあります。かつては島と本土を海上ロープウェーが通っていたのですが、老朽化のため2008年に休止し、その後撤去されました。従って、島に行くには船を使って海を渡らなければいけません。
 淡島の頂には淡島神社があります。明治以前は淡島弁財天として海上安全・大漁祈願のご利益を祈願して、駿河湾の海の守り神として崇められてきました。明治時代になって神仏分離令により、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を祀っています。市杵島姫命は日本神話に登場する女神で、宗像三女神の一柱で水の神です。日本神話の中で絶世の美女とされ、商売繁盛、芸能、金運、勝負、豊漁、交通安全、五穀豊穣、海の神として信仰されています。