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【第十話】駿河湾のシラスはタンパク質の宝庫

 シラスとは一般的に魚類の稚魚のことを指します。駿河湾では主にカタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシの三種類の稚魚が混ざったものがシラスとして売られています。シラスは安倍川、興津川、富士川などの河口周辺に集まり、用宗漁港、清水港、由比漁港周辺で漁獲されています。シラスの禁漁期間は1月15日から3月20日になります。
 漁獲した時期や海域によって色や大きさ、脂ののり等が異なります。春から7月頃は脂がのったシラスが獲れます。この時期の生シラスの色はクリーム色がかっていて、干すと黄色っぽくなります。秋から冬にとれるものは干すと白く綺麗なシラスに仕上がります。春に比べて脂が抜けて味はサッパリめといわれていますが、風味はしっかりとしたものがあります。
  駿河湾のシラスは2017年以降、漁獲高が減少を続けています。不漁の原因は詳しくは分かっていませんが、2017年より続く黒潮の大蛇行がその要因であるといわれています。シラスの群れは黒潮に乗って北上するため、黒潮が蛇行してその流れが日本沿岸から離れると、群れが沿岸に寄りにくくなり不漁になると言われているのです。シラスは様々な魚の餌となるため大型回遊魚の漁獲減少にもつながり、海の生態系が危ぶまれます。
 製品としてのシラスは大きく4種類に区分されます。水揚げしたばかりのものを「生シラス」、生シラスを専用の釜で茹でたものを「釜あげシラス」といいます。新鮮な生シラスを素早く釜あげしたものに人気があります。また、乾燥させたものを「シラス干し」や「ちりめんじゃこ」と呼びます。生しらすをそのまま乾燥させるのではなく、釜揚げしらすに加工してから干します。しらす干しとちりめんじゃこの違いは、一般的にちりめんじゃこの方が水分が少なく、よく乾燥したものを指します。
 シラスはタンパク質やカルシウムが豊富で、カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDも豊富にあります。シラスのタンパク質は、アミノ酸バランスのよい良質なタンパク質といわれています。身体のさまざまな部分の健康を保つ効果があり、免疫機能の維持などにも役立ちます。