【第十五話】橘 (たちばな)
古事記に記された不老長寿の木の実のことで、伊豆北の地域が国内北限の自生地とされております。
桃の節句のお内裏様とお雛様の左右に飾ってある花をご存知でしょうか。
お雛様のモデルとなった京都御所の庭に植えられている橘と桜なんです。
橘と桜には古来より「魔除け・邪気払い」の力があると考えられてきました。
特に橘は古事記にて、田道間守が常世国から持ち帰った不老不死の木の実「ときじくのかぐのこのみ」
(漢字では「非時香菓」と記されておりました)と言われております。
常緑である橘は永久繁栄を意としたおめでたいものとして、また香りが良いことも相まって単の袂に入
れる匂い袋や虫よけとしても使われて皇族・貴族に重用されてきました。
今日では文化勲章のモチーフとしても使われており、高貴な香りのする柑橘類であります。