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【第十三話】金目鯛も駿河湾の宝石

 伊豆の代表的な美味しい魚といえば金目鯛(キンメダイ)が有名です。真っ赤な色に大きな金色の目が印象的な魚です。金目鯛は深海魚です。水深200mよりも深いところに生息しています。駿河湾は日本で最も深い湾なのです。最深部はなんと2,500メートルに達します。
 深海魚の中には金目鯛のように赤い魚が多いと思いませんか?ノドクロ、アカウオ、カサゴ、アコウダイ、キンキ、ホウボウ、ホッコクアカエビ、ベニズワイガニ、サクラエビなど深海に住む生物はすべて赤い色をしています。赤色が水深10m程度で最も早く吸収されてしまう色(青色は水深200mを超えても吸収されない)のため、海の中にはほとんど赤色の光がありません。従って、深海の赤い魚に光は反射せず、見えなくなってしまうのです。海の中では赤色は目立たない保護色となるわけです。また、金目鯛の目が金色なのは目の奥にタペータム(輝板)という反射板があり、深海の少ない光を集めて獲物を見つけています。
 金目鯛が獲れる国内の有名な産地は静岡県、鹿児島県、高知県などですが、実は北海道から沖縄まで太平洋・日本海・東シナ海に広く生息しています。その中でも水揚げが最も多い伊豆半島などは特に有名です。実は金目鯛は日本だけでなく世界各地に生息しており、太平洋、大西洋、インド洋の熱帯から温帯域に広く分布しています。旬は冬ですが四季を通じて脂がよく乗っています。
 金目鯛の寿命はなんと約15年と言われており、大きいものだと50cmほどにもなります。1年で15–17cm、3年で25–28cm、10年で38cmくらいになります。
 金目鯛(キンメダイ)は伊豆半島の獲る場所によって呼び名が3種類あります。地金目鯛(ジキンメ)、島金目鯛(シマキンメ)、沖金目鯛(オキキンメ)です。
 地金目鯛は新島周辺、大島周辺の特定海域などで小釣漁師が日帰りで一本釣りで獲る金目鯛のことです。脂の乗りが最も良く味も豊かで、最上級のブランドになります。地元のスーパーにさえ並ばない超高級魚です。特に1kg以上の大きさのものは味がよく、幻の魚といわれています。地金目鯛は、地元以外ですと高級料亭や高級寿司屋でなければ口に入りません。
 島金目鯛は、神津島周辺から八丈島周辺の特定海域で南伊豆の小釣漁師が日帰りで釣ってくる金目鯛のことです。脂の乗りと味は地金目鯛より落ちます。また、沖金目鯛は、主に大型漁船で八丈島から青ヶ島あたりで数日間海上で漁をして水揚げされる金目鯛です。沖金目鯛は、島金目鯛よりさらに脂の乗りと味が落ちます。
 金目鯛が全国で食べられるようになったのは意外にも最近のことです。関東で煮つけとして食べられていましたが、1980年ごろから刺身や干物などで全国的に知られるようになったそうです。当館のお土産に干物セットがありますが、金目鯛の干物が入ってとてもお得な値段でご用意いたしております。