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【第五話】ブランドみかん!『寿太郎』

 松濤館から海沿いに西へ少し進むと『西浦』という地区があります。西浦はみかんの一大産地で、ここで採れるみかんは一般には『西浦みかん』と呼ばれていますが、この地区で最も美味しいと言われているみかんは『寿太郎(じゅたろう)』というブランドみかんです。寿太郎はみかんの品種名です。西浦でみかん作りをしていた山田寿太郎氏(2016年に90歳で逝去)が1975年(昭和50年)に青島温州(あおしまうんしゅう)みかんの枝変わりとして発見しました。1983年(昭和58年)に『寿太郎温州』と命名され、翌年品種登録されます。またその後、2020年(令和2年)には、『三島馬鈴薯』『田子の浦しらす』に続いて、『西浦みかん寿太郎』が静岡の地理的表示(GI)として登録されています。
 寿太郎は今では西浦だけではなく三浦(さんうら)地区(西浦、内浦、静浦)で広く栽培されており、柑橘栽培面積の5割を占めるまでに拡がりました。主に駿河湾に面した急な傾斜地にある段々畑で栽培されています。このあたりは火山灰の土壌で水はけが良く、果物の栽培に適しています。
 寿太郎は小玉サイズが中心で甘みの強い品種です。収穫したてでも美味しいのですが、寿太郎の特徴は貯蔵させることでより一層美味しくなることです。12月に収穫した寿太郎を1~2ヶ月の間温度と湿度を一定に保ちながら貯蔵して熟成させます。熟成させることにより糖度が高くなり、濃厚な甘味と風味が出てきます。さらに、酸味が抑えられてマイルドな味わいになり、甘味と酸味のバランスが絶妙となります。
 寿太郎には選果によりランクがあります。糖度が約13度のものが『特選』や『プレミアム』と言われる最上級ものになります。これらは通常の温州みかんの出荷が終わりに近づく2月頃から出荷が始まり、3月上旬まで出荷されます。『プレミアムゴールド』と呼ばれるものは、冷風貯蔵技術によりさらに長期間熟成させたもので、3月中旬に出荷されます。
 今シーズンはすでに過ぎてしまいましたが、この時期に当館へおでましされる際には、この寿太郎をお土産にお買い求めになられたらいかがでしょうか。