【第三十二話】幻の「伊豆スピードウェイ」!?
1964年の東京オリンピック、その年のとあるモーター雑誌に驚愕(おおげさかな?)の記事を発見!
「伊豆スピードウェイ 着工近し」という記事。「スピードウェイ」といえば
富士スピードウェイだが、伊豆とはどういうこと…?
「伊豆スピードウェイ 着工近し」この聞きなれない言葉を深掘り・・・
スピードウェイといえば、もちろん富士スピードウェイ。モータースポーツファンならば
反射的に「フィスコ(FISCO)」と言ってしまうとか。トヨタ傘下で2005年にリニューアルオープン
してからは「FSW」が正しい略称だ。それが伊豆とは…?
掲載の略図を見ると、場所は伊豆スカイラインの亀石峠ICにほど近い、一般道を挟んだゴルフ場の
斜向かい。今ここにあるのは、日本サイクルスポーツセンター、日本競輪選手養成所を併設する
言わずと知れた自転車競技のメッカ。こちらの略称は「CSC」で、おおよそ1980年代から
変わっていない。広いストレートと険しいワインディングを複合した「5㎞サーキット」は、
新型車の撮影・試乗会など自動車関係者にもおなじみである。
しかしながら、モータースポーツのためのサーキットは紆余曲折を経て結局幻と消えた。
一方、ほぼ同じ時期に別の推進派が富士山麓に立てた建設計画は、奇しくも「富士スピードウェイ」
として実現することになる。開設は1966(昭和41)年1月。
このスピードウェイと言う名前、富士スピードウェイ(株)の前身が日本ナスカー(株)
だったことでもわかるように、当初はアメリカ型のストックカーレース開催が目論まれていた。
そのオーバルコース構想の名残、伊豆スピードウェイもそうした青写真だったのだろうとの
思いを馳せる。