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【焼酎唎酒師コラム1】花粉症に効く酒?

 当館所属の焼酎唎酒師です。当館での勤務のない日は全国で焼酎講座を行っています。
 花粉症の季節になりました。花粉症の方はこの時期はとても辛いものがありますが、酒呑みの貴方はより辛く感じているのではないでしょうか?
 本日はお酒と花粉症の関係をお話いたします。
 私の実感として、お酒は花粉症には絶対的に良くありません。呑み始めの一時は血流も良くなり鼻の通りもいいように感じますが、呑んでるうちにだんだん調子が悪くなり、最後にはかなり酷い状態に陥ります。
 お酒が花粉症に良くないのはなぜでしょうか。
 お酒を呑むと体内でアセトアルデヒドという物質がヒスタミンを増加させるからというのが原因らしいのです。花粉症が酷くならないお酒があったらいいなと花粉症の方なら思うはずです。そこでよく耳にするのが『花粉症に効く酒』というものがあるという情報です。
 沖縄県石垣島の請福酒造(せいふくしゅぞう)の請福ファンシーという泡盛が花粉症に効くと言われはじめたのが20数年ほど前です。噂の原因は、呉羽化学工業の社員が土産に買った請福ファンシーを呑んだら花粉症の症状が軽くなったというのが話の始まりです。何やら統計によると花粉症患者の3分の1は改善がみられたとか。その後、請福酒造は何故花粉症に効くかを研究して実用新案特許を出願しましたが、抗アレルギーとしての有効成分を特定できないまま1996年の出願以降は研究を中止しています。
 花粉症の私も当時飲んでみたものの、症状の改善はよくわかりませんでした。泡盛のような蒸留酒は、元々アセトアルデヒドを体内で生成しにくく、ヒスタミンが増加することが少ない種類の酒です。ビールや日本酒、赤ワインのようなヒスタミンを多く出す醸造酒を日頃呑んでいる人は泡盛を飲んで症状が改善したように感じたのかもしれません。また沖縄にはほとんどと言っていいほどスギやヒノキがなく、従ってその花粉も飛んでいませんので、元々花粉症患者自体ががほとんどいないと言われています。
 花粉症の方が飲むのなら醸造酒より蒸留酒のほうがいいのですが、樽熟成した琥珀色の酒(ウイスキー、ブランデーなど)は蒸留酒の中でもヒスタミンを生成しやすいそうですので、できれば透明の蒸留酒(ジン、ウオッカ、焼酎など)を選んだほうがよいでしょう。